「頭がおかしくなりそうだ」  開口一番、施設入所者はそうつぶやいた。

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その方は以前にもショッピングセンターへ一緒に

お出かけした事があった。

それから2か月後の先日、

再びワタシと介護タクシーで買い物へとお出かけになったのだ。

介護タクシーにお客様毎車いすを車内へ乗車させ、

目的地へ向けて走らせるや否や

「ああ、頭おかしくなるよ、こっちばっか閉じこもっていたら」

ワタシ

「僕と一緒に外出して以来ですか?」

「そうだよ、毎日叫び声あげる人なんかいるもんだからたまったもんじゃない、

 あれじゃあ、職員が一番大変だよ」

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画像と本文は関係ありません。

昨今の障がい者支援施設・入所者の虐待に安易に結びつけてはならないが

閉鎖的な空間が人間の鬱屈とした心境を作り出し、

色んなストレスとか、

モノが豊かになっても幸せと感じ取れない社会空間とか、

ごちゃ混ぜになって職員・入所者問わず

感情が暴発するのだろう。

こういう言葉を聞いてとてもやるせない気持ちになる。

何かをしてあげたい気持ちがあっても何かがすぐに出来るわけでない。

突如として中途障がい者となられた方、

先天性の障がい者など様々な障がい者同士が住みあって生きている現場。

ワタシは介護タクシーで移送・介助を行う立場で

その障がい者たちと触れあう時間も限られたものだ。

限られた時間だからこそ

お互いに変なわだかまりなく接する事が出来るのかもしれない。

これが毎日毎日、毎時間、顔を合わせる中だと

ちょっとしたことをきっかけに喧嘩やいさかいが起こり

険悪な仲になる事もあるだろう。

そういった事を想像するにあたり、

ワタシに出来る事は、

この数時間の外出で、たった数時間の解放された空間で、

ストレスフリーになって頂けるよう精一杯接客を行うしかない。

精一杯寄り添いたい。

介護タクシーを利用して良かったと噛みしめてもらえるよう全力で務めるだけだ。

お客様は限られた時間と限られたお金で

介護タクシーを利用するという選択をなさり

やっと外出できるという事にとてつもない価値や期待感があるのだ。

精一杯運行を行うだけだ。それしかない。

こういった状況を見るにつけ

社会に不満・愚痴ばっかり言って親の援助を受けて引きこもるニートに

腹立たしく思ったりするもんだ。

いや、

ニートになるまでの過程・経緯をしっかり把握せねば

簡単に腹立たしい、と簡単に口にしてはいけないと思いながらも、

それでもワタシを含むその健常者たちの

事を起こそういう意思があれば簡単に外出できる環境・手段が整いながら、

自分の力で衣服を着て靴を履いて少々の段差を難なく乗り越え

自家用車に乗りこんだり

バス停に行けたり

タクシーを呼んで外出できるという

この当たり前の日常

がどれだけ豊かな事かを痛感する。

無事、安全に運行を終え施設へ到着。

「ありがとう、本当にありがとうねぇ。」

そのお客様の声でワタシが救われた。

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花城 健

合同会社 代表社員兼 介護タクシーめぐり運転手  1978年 沖縄県・金武町生まれ   旅行をあきらめる障がい者・歩行に不安のある高齢者へ沖縄観光の成功を一緒に考え、現地ならではの情報提供を行い、ゆったり・ゆっくりの小旅行を企画する日本で数少ない駆け込み寺型の福祉・介護タクシードライバーでもある。 良質な情報に触れ・多少の不便を受け入れ・体験したいコトを明確にすれば、障がい者高齢者の旅行は必ず叶えられると確信しています。 THE  YELLOW MONKEYをこよなく愛す。 趣味・三線 読書 一人カラオケ ジムニ―イジり 落語・歌舞伎鑑賞 ウィングスーツ滑空妄想 資格: ヘルパー2級・視覚障害、身体障害者ガイドヘルパー・認知症サポーター・実務者研修(痰吸引・経管栄養)・手話3級・運行管理者(旅客)  実績事業: 障がい者外出の移動支援事業、高齢者通院支援事業を自治体より委託契約 身体障がい者福祉協会・会員の福祉向上送迎事業受託 発達障がい児通学送迎事業受託
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