お会いする前からメール文面での言葉遣いに優しさが溢れていて、那覇空港到着ロビーで初対面を交わした時もその感覚に間違いはありませんでした。
穏やかな顔立ちのお客様は電動車いすを軽やかに扱われる方でして、弊社介護タクシー車両への乗降も初めてとは思えないほどにスピーディーに滑らかに行われ、私のサポートはいらないな、、、と思わせるほど(笑)
バリアフリー沖縄観光実施日の1か月前からメール打ち合わせを幾度となく行い、1泊2日という弾丸スケジュールにお客様の臨む「美しい空・青い海・美味しい魚料理」を盛り付けまして、まずは、世界遺産グスクの代表的たる首里城へと足を運びました。
朱色と抜ける青空のコントラスト美しき首里城

使い勝手の悪いお札に印刷された事でその名を轟かせた「守礼の門」は、このアングルから撮ればバッチリです。
お二人の御顔立ちから伺えるように、気品の良さが守礼の門周辺を包み込みました。
ガサツなアプローチで世の女性陣から既読スルーならぬ苦笑いスルーを常態化させている私にも、気品の良さ一つ身につけねば独身を貫く事間違いなしでショー。

首里城の全容解明にはまだ至らぬ奥深き歴史ロードが、この度発掘された模様。
軍用道路として当時の那覇港まで整備された石畳道路の起点だそうで、両側に排水路の跡が確認された事も貴重な歴史的資料なのだとか。以下も参照下され。
首里城公園内で初出土 琉球王朝時代の軍用道路「真珠道」の石畳
すぐ近くの世界遺産、園比屋武御嶽石門にてこれからのバリアフリー沖縄観光道中の安全祈願と記念撮影を行った後、車いすルートのスロープを上って木曳門をくぐると……

生き抜く力強さが見て取れるアコーの根
ここ、何気にフォトスポット。
特に、インバウンド観光客がほとんど足を止めて撮影されます。御多分に漏れずお客様もカメラを取り出しているの図。

とにかく青空が気持ちいい。
右側の広福門に隣り合わせた料金所は緩やかなスロープ完備で、自動支払機と受付窓口両方で首里城有料区域への支払い手続きを行えます。
障がい者手帳お持ちであれば本人・付き添い1人まで無料扱いとなります。首里城観光の際は手帳所持をお忘れなく。

日本の神社・お寺で見受けられる唐破風形式が特徴の首里城正殿。
中央が盛り上がった屋根の下に彩られた龍や雲、牡丹の花があしらわれた彫刻の塗りなおし作業は、このブログ執筆のおよそ3か月前に終えたばかりの事でして、その色鮮やかな模様はクリアな青空と見事なコントラストを生んで思わず「インスタ映え~」とおねぇコトバが出ちゃいそうになります。

パシャパシャ。
未だ現在、正殿外壁の漆塗り直し作業は行われていて、その歴史的遺産保全活動と日々訪れる観光客が抱く琉球王国のイメージのギャップをなるべく埋めるよう、正殿外観が映された外幕や朱色に塗られた足場の色使いにも細やかな配慮がうかがえます。

冊封使をもてなした南殿は中国文化を反映させた丸柱と縦型窓枠・朱色外壁が特徴的

正午の時間帯にも関わらず混雑は見られず快適に観光を楽しめた首里城正殿前・御庭(うな~)
正殿前の写真撮影も軽やかに我々は次なる観光地・万座毛へとタクシーを走らせまして候。
ハングル語・北京語BGMに染まる恩納村 万座毛からの絶景ビュー

船越英一郎様御用達の断崖絶壁ビュー
こちらへ車いすユーザーをお連れする際にいつも気にかかる事が二つありまして、まず一つ目は、車いすユーザー視点からも健常者と同じようにマリンブルーの海模様を眺められるよう、25センチ高のスロープ付き車いす専用閲覧ビューを備えてはどうかという提案。

ユーザー目線はこうなっちゃうんですよね。お母様はここぞとばかりに断崖絶壁パシャリの図
囲い向こうのとげとげしい葉が特徴のアダンが、万座毛絶景ビューポイントの視界を更に遮る形になっていて、少なからず車いすユーザーはプチストレスを生んでいる筈なんですね。自撮り棒を掲げる女子の足元ポジションにそのやうな小粋な閲覧台を設置できたのならば、

これを肉眼に焼き付けて頂けると思うんです。
これまで幾度となく万座毛に車いすユーザーが訪れていると思うんですが、この絶景ビューをこのように確認することなく後ろから迫ってくる観光客の勢いに押されて仕方なしに通り過ぎているんじゃないかと想像するんですよ。
あともう一つの提案は、、、、

一方通行の通路幅について。。。。。
日々増加の一途をたどる沖縄観光客数の真逆を行く大人二人分ほどしかない通路幅は、写真を撮りたくてその場にとどまりたい人・さーっと通り抜けたい人・景色を堪能しながらお喋りも楽しみたい人のニーズがぶつかりあってプチストレスがこの美しい観光地で日々生まれているわけで。
内側に60センチ幅の通路増設工事はそこまで膨大な予算はいらないでしょうし、多少の入客制限を設けて工事着手と観光の両立を図れないもんでしょうか。観光OFFシーズンの冬を狙って一気に工事展開も良さげですね。
どうにかなりませんか関係者の皆様。
という、こざかしい戯言を万座毛の駐車場に置いて次なる聖地は。
ぬちぐすい=命の薬を提供するプチバリアフリー飲食店・沖縄料理ぬちぐすい

道の駅・許田の隣にあります。
店内入り口手前に2センチほどの段差がありますがそのハードルを越えれば入店はさほど難しくありません。
お客様ご愛用の電動車いすを確認するや否や店内スタッフが引き戸を開けてくれるささやかな配慮を伺うに、車いすユーザーの来店は日常なのでしょう。
あ、道をはさんで向かいに道の駅・車いすトイレも完備されているので安心です。
お肉料理よも沖縄のお魚料理を頂きたい、、というお客様・母上のリクエストが事前にありましたので、様々なリサーチを重ねた結果 沖縄料理の全てを取りそろえるこちらぬちぐすいにて遅めの昼食を頂く事にしました。

沖縄と言えば海ブドウ。

沖縄と言えばもずく天ぷら

アタクシは野菜そばwithモズク
ウップス!
お客様が召し上がったソーキそばとお母様が召し上がったグルクン唐揚げを撮れていませんでした、アイムソーリー。
こちらで食したもずく天ぷらはそこいらの天ぷら店とは一味違いまして、薄くスライスしたゴーヤー(苦瓜)が合わせて練りこまれている所に小粋を感じる次第で、出来立てアツアツの衣にも味付けがなされていて猫舌をにゃーにゃー響かせながら美味しく昼食を平らげました。
ぬちぐすいメニューの充実ラインナップを先ずはご覧なすって。
店内はテーブル席・奥座敷があって、小団体の車いすユーザーご利用も十分に可能でしょう。店内の車いす動線に関しても特に窮屈を感じる事は無かったですし、テーブル・椅子を移動してお客様ニーズ(人数)に合わせた座席レイアウトも可能なようです。
予算に合わせた料理作りにも柔軟に提供しながら、やはり、ぬちぐすい=命の薬のコンセプトを踏襲する健康に配慮した多彩な沖縄・琉球料理が魅力のぬちぐすいは、沖縄観光を検討される障がい者・高齢者におススメの飲食店ですね。
古宇利島オーシャンタワーからの海に魅せられて
沖縄本島の中でも屈指の透明度を誇る古宇利島の海や、全長2キロメートルもの古宇利大橋の外観が一望できる古宇利島オーシャンタワーへのご案内を提案しましてご承諾頂き、介護タクシーを走らせました。

そろそろカメラバッテリー残量が気になるころ

真正面に見える古宇利大橋
オーシャンタワーへの最短アクセスは、一度、駐車場隣の受付窓口で観覧チケットを購入し(手帳提示で半額)、大型バス専用駐車場方面へ走らせ、傾斜スロープを登り切れば障がい者専用乗降所が2か所あります。勿論、健常者は通常の駐車場からアクセスなさってください。
訪れた時間帯が午後16時過ぎ、さざ波たつ海模様であった事からコバルトブルー・マリンブルーのオーシャンビューは残念ながら望めなかったのですが、それでも古宇利島が放つ海の恵みは、必ずや訪れる人々の心に癒しを与えてくれます。
17時過ぎの美ら海水族館こそ車いすユーザーにおススメ

母上「亀撮る?タコ撮る?どれ撮る??」 テンションが上がりMAX

こちら行列必至のフォトスポット。穏やかに撮影が済みまして候。
初沖縄という「旅」をお母様にプレゼントなさったお客様の心意気・親孝行溢れる熱量は私も見習わねばならないと心に思うも、シャイなあん畜生の性分が邪魔をしてその一言が喉元でつっかえてなかなかスルリと出ないものです。
「親孝行したいときに親は無し」でしたっけ?父親が突如他界した時にそれは嫌という程学んだはずなのですが、月日経てばその学びも何処へやら。
無料観覧できるイルカの「オキちゃん劇場」の最終公演が17時半でしたので(4月から9月まで!!)
グッドなタイミングでウォッチング出来ました。

車いすユーザー専用席が舞台前に10人分、スタジアム裏に7人分ほど整備されています。
我々の姿を見るや否や、劇場職員が混雑する専用席エリアへの誘導と案内を滑らかに行ってくれました。
このやうな心配りが介護タクシー事業者の私としてもとても有難く嬉しくなるものです。
20分ほどの劇場鑑賞後、感動そのままにいよいよの美ら海水族館へと。

ゲテモノふれあいゾーン。
怒られますね(苦笑)
こちらのエリアも、通常は好奇心溢れる子供たちや譲り合いの精神より自己主張溢れる東アジア系の方々が独占するエリアでして、このように開放的な状況は私も久しくお目にかかっておらず。

IQ8指数のキュートな表情

周りの磯と同化する普段無愛想な彼も、指の腹で水槽を指圧すると急に元気になって泳ぎ開始の図

こちらも混雑必至のチンアナゴ水槽前

藻に絡みつくはタツノオトシゴ
いよいよメインイベント・黒潮の海ゾーンであります。

午前の激混みとは打って変わって快適観覧ゾーン。
ギネス認定のアクアリウム水槽へ繋がるスロープすらもフォトジェニックを極めたいとばかりに観光客が群がるので、車いすユーザーのご案内も少々骨が折れるものです。いや、一番しんどいのはユーザー本人なのですが。
しかしながら、17時過ぎの来館はそのような心配・不安を払しょくするほどに快適に水族館鑑賞をゆっくりゆったり楽しめます。個人的におススメです。

専用エリアもストレスなく利用できました。

おーーーー。

オーーーーーー。
これ見たさに那覇空港から100㌔もの道のりを走らせるわけですから(笑)、その苦労も一瞬で吹き飛ぶ大迫力と興奮を与えてくれます。

ジンベエザメ見上げるの図

ジンベエザメ見上げている構図をどうしても撮影したいという構図

丁度この時期、ジェイソンステイサム兄貴が出演した『MEG ザモンスター』に登場するメガロドンの実寸モデル??
画像には写っていませんがお口の中にスロープが整備されているので、車いすユーザーもメガロドンに喰われながら記念撮影もOKですよ。

アコークローの夜空がとても美しきかな
気が付けば19時半。
夕食先の国際通りへいそいそと介護タクシーを走らせました。

予約席が何とも豪華絢爛(笑)
戦後復興の象徴的存在、国際通りには数百もの商業施設が軒を連ね、その中でのバリアフリー飲食店の一つがこちら。
2階は個室スタイル・3階は大宴会場形式になっており、沖縄舞踊を鑑賞しながら料理も楽しみたい方はご予約時に申し伝えましょう。
もちろん、エレベーター・車いすトイレ完備でございます。
くわしくはこちらの記事・最終あたりをご参照ください。
国際通りで沖縄の匂いを感じられるバリアフリー飲食・居酒屋はここを抑えておこう
頂いたお食事ラインナップ。

ジーマーミ豆腐と島ラッキョウ

刺身盛り合わせ

スーチカー(塩漬け豚肉)

これは美味!コリコリ食感のイラブチャー刺身
現地のお魚を頂いて御母上もご満悦だったとかそうでないとか。
濃密バリアフリー沖縄観光も気が付けば11時間を経過しており、南から北へ・北から南へと大移動を行いまして安全にミッションはポッシブルしました。
後日頂いたメッセージに私 胸を熱くしまして。
「美しい景色、美味しい料理、楽しい会話等々、
このひと言に触れたとき、
私の心は東シナ海のように深く満たされたのでした。