これほどテキストのやり取りが重要なんだと感じたことはなかったです。
ある日の事、メール受信欄に「沖縄観光について」と題した問合せが届きました。
お友達の誕生日サプライズで沖縄観光をプレゼントしたいと秘密裏に計画を進めており
介護タクシーを探していたら当社のサイトがヒットしたとの経緯。
何とも思いやりのある・粋な計らい。
私の母親は
「お前たち男は何も気が利かなくて親孝行もしないねぇ」
とヤクルト元監督の野村克也なみにボヤキを挟み込んできますが。
しかし、お客様にとってここで問題が。
私に問い合わせ頂いたお客様は聴覚障がい者で言語が発声できず
ホテル宿泊の予約もままならないという状況。
(電話でやりとりが出来ない)
それで沖縄観光をあきらめようかという悩みの問い合わせメールでもありまして。
何度も聴覚聴覚障がい者と接した事があっても
沖縄観光を利用したいというユーザー目線で考えたことは今までに一度もありませんでした。
ガツンと気づかされたあの日を掘り下げてみます。
問い合わせメールを送っても返信が来ない
宿泊料金を出来るだけ安く抑えたいという願いから大手旅行代理店サイト経由の宿泊打診メールを送信したものの、返信がなくて非常に困ったそうで。
考えられる理由としては膨大な受信メールの中から見落とされてしまったのか、
ご自分が聴覚障がい者で音声のやりとりが出来ない旨が相手に伝わらなかったのか、
理由は定かではありませんが
困っている事に間違いはないわけです。
お客様ご希望のホテルへ私が直接電話で確認を取った所、やはり、
問合せが見当たらないとのこと。
近くのホテルをいくつか打診してようやく宿泊成立と相成ったわけなのですが。
メールという一見手間のかかる伝達手段もそれが無ければ困る人が存在する。
請求書作成・ブログ執筆・サイトテキスト変更・Facebook・Twitter投稿・
POP作成・暑中見舞い・年賀はがき作成を重ねてきてようやく腑に落ちる
文字のやりとりの重要性。
以前のコミュニケーションの捉え方は
「物事を伝えるには電話した方が早いだろ!」って思ってたんですが
これって捉えようによっては自分よがりで他者を思いやらない
一方的なコミュニケーションなんですよね。
相手が会議中で取り込んでいるかもわからない最中で
こちらが電話をかけるわけですよね。
勿論、仕事上の重要な確認かもしれませんが。
それでも100%相手が受け入れ態勢万全だとは言えないわけです。
それがメールであれば相手が都合のいい時に確認できるし
何よりお互いの意思伝達を活字として残す事で
「俺はこうしてくれって頼んだけど」
「はぁ?そんな事言わなかったよね、聞いてませんけど」
という認識の食い違いを防ぐ事にも繋がりますし。
仕事上のトラブルでよくある 言った、言わない、言わなかった
は人間関係すらダメにする要因にもなりますからねえ(笑)
何より、自分自身の思考を活字に変換する事は
「相手に伝わるようにはどの言葉をチョイスしたらいい?」
という脳みそ筋トレを行っている事にも繋がりますし。
聴覚障がい者の日常生活はその連続で成り立っている。
音の聞き取りに不自由している聴覚障がい者は、日々、相手に伝わらないなって
感情を噛みしめて人生を歩まれているわけで。
先天的要因の音が聞こえないろう者
補聴器を活用して何とか対話できる難聴者
音が聞こえた時はあるものの何らかの要因で聞こえなくなった中途失聴者
体験が先か知識が先か。
どちらが先でも接したその縁を大事にその人ともう少し繋がりたいという
欲求があれば光はわずかに開けてくる気がします。
英会話なんかもその一例ですよね。大事なことは不器用でも
「あ、こいつ、何か頑張ってんな」
と相手に伝わる事じゃないでしょうか。
今回訪れる聴覚障がい者のお客様に沖縄観光を満足してもらえるよう
不器用な手話と筆談ボードを駆使して那覇空港にお迎えに上がりたいと
思っとります。