障がい者・高齢者らとの貸切外出先で「どうして気づいてくれないんだろう?」とか「もう少し配慮が欲しいな…!」と思う事が多々あります。
つい先日、首里城で開催された中秋の宴2018が雨天で一時中止となった時に起きたプチハプニングも織り交ぜながら、福祉タクシードライバーとしての視点・考察を述べてみます。尚、この記事は、各種イベントに関わる運営スタッフ全てに読んで頂きたいブログでもあります。
イベント開催前に、運営スタッフ側に考えて頂きたい事とは、
障がい者専用乗降所が単なる物置スペースとして捉えられているので本来の使用目的へ戻す
雨天時を想定した車いすユーザーの一時避難先及び専用ルート確保
です。
障がい者専用乗降スペースを本来の目的で活用する視点から会場づくりをスタートしては如何?
数十万規模のイベントから数百人単位の集客がある小さな集落の祭りも含めて、車椅子ユーザーをお連れする際、真っ先に気になるは、メイン会場になるべく近い駐車スペースが確保されているかどうか。
すると、7割以上の確率で障がい者専用乗降所 アスファルト上にカラーコーンが置かれたり音響設備が設置されていたり、果ては、報道局のテレビ中継車が大股開いてドデンと構えてたりします。
障がい者自身(主に車椅子ユーザー)が運転する自家用福祉車両や、介護施設・障がい者施設所有の福祉車両がレクリエーションの一環でこのような専用乗降所を活用して来場する……という視点が、運営側には恐らく抜けているんだと邪推してしまいます。
百歩譲って「この駐車スペースを使いたい障がい者が来るかもしれない…」と運営側が思ったとしても、5分後には、「まぁ、それほど来ないだろうから今回は見送って音響機材置かせてもらおう」と思考が切り替わるのでしょう。今まで数々のイベント会場の現場を見てきて率直にそう感じるのです。
ここでイベント運営スタッフに強く訴えたいのは、障がい者専用乗降所とは、日常的に使用されていない様に見えるから(停まっているクルマ見かけないから)、物を置いていい という思考を、次のように改めて欲しいのです。
このスペースを活用すべき人が何時来てもいいように常に空けておく
と。
例えば、この幅広な障がい者専用駐車場を活用する人とは?
動画をご覧頂くと分かるように、車椅子ユーザーにとっての手足である車椅子をルーフBoxに格納するのに
- 運転席ドアを目いっぱい開けなければならない
- およそ1分ほどの車椅子格納時間を要する
わけで、彼らが自分の力で外出を可能にするのもこのような専用駐車スペースが絶対に必要になってきます。
通常の駐車スペースではこの作業が不可能に近い(隣に車が有ったら?)ので、
↓ ↓ ↓
誰かの手を借りる(例えば介護タクシー)か、外出自体を控えるようになってしまうんですね。
身体にハンデを抱えた人も祭りイベントを楽しむ機会(環境)が同様に整えられている という事が何より大事だと考えます。そして、そのような配慮を行っている旨をSNS・チラシ・ラジオ・WEBサイト…あらゆる媒体を駆使して積極的に発信すべきなのです。
発信しなくては届きません。発信し続けなければ目に触れず耳に聞こえてこないのですから。
雨天時における車椅子ユーザーへの一時避難場所と回避ルートと
3年ぶり?に参加した中秋の宴2018での出来事。
中秋の宴2日目にあっても観光客は列をなして今か今かと開演を待ち望んでおり。
中秋の宴プログラムも滞りなく進行し、琉球国王・王妃選出大会を終えて組踊「万歳敵討」に差し掛かった頃、突然の雨が。しかも演劇中止を匂わせるほどの強い雨でした。
この時、観客の心理は以下のように大別された事でしょう。
この心理がぶつかり合って、宴が行われた正殿前から奉神門向こうへ抜ける出入口通路内でかなり強烈な、酸素濃度うすうす人混み渋滞が発生したのです。
※通常の首里城観光も、今回の中秋の宴イベントも、矢印部の奉神門・中央通路からのみ出入りが許可されている
真っ先に帰りたかった私は、混雑極まる人混み渋滞がなせ解消されないのか疑問でしたし、後ろからグイグイ押してくる他の観客の圧迫感もあってかなりイライラが募ったものです。
この時、ふと、「これ、車椅子ユーザーをお連れしていたら大変な事になっていたな…下手をするともみくちゃにされて怪我の恐れもある……!!」と強い危機感をもったのです。
付け加えておきますが、首里城運営スタッフの車椅子ユーザーに対する配慮や案内は素晴らしいものでした。
開場前の禁止事項説明や宴を楽しむ為の提言も日本語・中国語・英語を使い分け、観客に2度3度と伝え続け、車椅子ユーザーの入場を最優先してくれましたので。優先席も舞台袖に分かりやすいように区画されて福祉タクシードライバーの私としても嬉しく感じたものです。
しかしながら、雨天を想定した車椅子ユーザーへの誘導や一時避難場所は設けられていなかったんですね。
このような首里城でのイベントを振り返り、今まで訪れてきた地域開催の各種イベントと重ね併せてみると、車椅子ユーザーの来場をそれ程想定していないので当然に雨天時での一時避難先や回避ルート確保にも意識が及んでないのではないでしょうか。
沖縄は特に、前触れもなく突如としてスコールが降りかかってきます。
健常者のように、人混みをかいくぐって段差や階段を乗り越え、登り坂下り坂をスピーディーに移動する事が難しいですし、電動クルマ椅子ユーザーの来場であれば雨に濡れ続けた事によって電気回路のショートを引き起こし、スティック操作がままならず立ち往生…も十分にありえます。
どうしても移動のスピードに欠ける車椅子ユーザーは、健常者の退避が落ち着くまで仮設のテントで雨をしのぎ、それから避難してもらう、、という配慮があればなと感じました。
障がい者専用乗降所が単なる物置スペースとして捉えられている → 本来の在り方(何時来ても駐車・停車出来る)に戻す
雨天時を想定した車いすユーザーの一時避難先及び専用ルート確保 → 不安が解消され、祭りイベント参加への意欲に繋がる
会場スペースや機材確保(予算含め)の観点から難しい点もありましょうが、
移動にハンデを抱える障がい者・高齢者らにもイベントを楽しんでもらう為に何を成すべきか
という視点から会場づくりに臨んで頂けたらなと、泡盛・龍ゴールド大好き介護タクシードライバーは感じるのでした。