平成27年3月末の集計状況で福祉タクシー(UD/ユニバーサルデザインタクシー含む)の全国普及台数は14、415台だそうだ。
平成22年から平成26年までの集計データはこちらから。国土交通省サイトより参照。
因みに福祉タクシーと介護タクシーとユニバーサルデザインタクシーって何が違うの?という疑問を持たれた方も若干いらっしゃるだろう。ワタシの見解では福祉タクシーと介護タクシーに関してそこまの違いを感じないのであえて介護タクシーとユニバーサルデザインタクシー・2点に絞って説明しよう。
- 介護タクシーとは? タクシー事業を許可されたヘルパーの資格取得者が身体介助と運行を行うタクシーの事。車椅子がそのまま入る専用タクシーで中にはストレッチャー乗車も出来、救急車に近い設備も整う民間救急車も広義の意味でこの介護タクシーに入る。 運賃+介助料金(機材使用料も含む)の合計が利用料金となる。
お客様対象者は 障がい者・要支援、要介護者の高齢者・透析患者・一般タクシーバスに乗ることが困難な者に限られる。
- ユニバーサルデザインタクシーとは? 車椅子がそのまま入り、一般タクシーに比べドア開口部・手荷物を収納できるスペース、ステップ・手すりへの配慮が行き届いたタクシー。ヘルパー取得は必須でなく、基本料金は運賃のみだ。
お客様対象者は誰でも。縛りがない。年齢、身体状況に縛られない誰もが利用できるユニバーサル精神が反映されたタクシー。
今回のブログでは介護タクシーもユニバーサルデザインタクシーもあえて統一して介護タクシーと呼称する。移動困難者に対する設備・対応が求められているという意味で一緒だからだ。
さて、テーマに戻ろう。
ワタシが介護タクシー運行をスタートさせた平成18年時点で全国の介護タクシー台数は9,651台。そして平成27年時点で14,415台。10年近く経過しても増加台数は4764台。10年近くでこの程度の台数増加ですよ?東京オリンピックが開催されるあと4年後で28,000台に到達したいなんてまず、無理でしょう。
そもそも、東京オリンピック・パラリンピックで世界各国から集まる障がい者(選手含む)、取材スタッフ、観光客の需要、そして、何より、少子高齢化による移動困難者がますます増加するであろう、、、というこの2点のみで算出された国土交通省の目標数値に無理があると言える。
(あとからグダグダいうのは誰でも出来る事なんだけどね)
そして、沖縄という遠く離れた南国野郎から言わせてもらえれば祭りで浮かれる東京人たちだけのための体のイイ理想論ともいえる(笑)
介護タクシー事業者微増の理由も上記で述べた2点を狙った新規開業者と、その狙い通りに経営がうまく行かない・集客が安定しない事業者が廃業、廃業するまでもないけど何とか首の皮一枚で事業を継続できているという継続事業者の動きが微増というデータ結果に出ていると思われる。
微増というデータは悲観的に見えるわけではないが裏を返せば少子高齢化、オリンピック開催による需要を俯瞰で捉えられていない新規開業者が廃業者を上回る為だろう。勿論、需要が見込めないではなく、個人の努力や人とのつながりを大事にし、顧客との信頼関係を地道に積み上げていく事により経営は幾分か安定する。しかし、あえて言わせてもらえれば2台目・3台目増車という傾向にはつながりにくいと言える。
新規開業者が増えればその分、お客の流れは分散することになり、あとは継続している事業者とのサービスの切磋琢磨・不景気な流れとのガチンコのにらみ合い、悪い言い方かもしれないがどっちが先に潰れるか?の辛抱合戦ともいえるからだ。その辛抱に耐えられないものがこんなはずじゃなかったと廃業に至るのだろう。
つまり、ワタシの偏見で言わせてもらえれば2020年東京オリンピック・パラリンピック開催時には28,000台は達成できないだろうと断言する。百歩譲って達成できたとしてもオリンピックバブルが終わればそこで食べていけないドライバーが増加し、鉄の塊と化したゴミクズタクシーへと退化する恐れがある、、、、いや!その頃にはロボット産業やITの進化がより顕著になり人間が運転しない自動運転タクシーが移動困難者を望む目的地へ安価に運ぶ時代が来るのではないか?
介護タクシーは乗車頂くまでの前後の介助が行われるため、一般タクシーの質の悪い接客ドライバーに比べれば生き残っていけるだろうという光も見える。接客の悪い、道を平気で間違えるタクシーに乗るよりかはペッパー君のようなロボットドライバーがまだましだと思えるだろうから。
そのような観点からロボットが出来る事と人間ならではのぬくもりのある接客が両輪で並走しながら時代は流れていくんじゃないかと思ふ2016年の11月のたわごとなのだ。