※うとぅいむちとは、沖縄の言葉で「おもてなし」を指します。
高速バスなんて日常で活用する交通機関ではないのですが、
- 本土への旅行・出張移動コストをなるべく抑えたい
- 気分を変えてバスに乗ってみたい
という理由からチョイスする事は未だにあります。
今回の高速バス(リムジンバス共に)利用の経緯は、お客様へ提供する身体介助スキルの向上を狙って18年ぶりの関東出張を行うものからでした。
古武術介護の提唱者:岡田慎一郎
充実した関東出張を終えて那覇空港から高速バスを利用して自宅への帰路途中、あるバス停で気にかかる瞬間がありました。
那覇空港・高速バス停乗り場から一緒のタイミングで乗り合わせた高齢の夫婦?がこちらのバス停で下車したのですが、バス車体側面の手荷物収納エリアからキャリーバッグを取り出すバス運転手と何やら話し込んでいたのです。
高齢者男女二人が何か困っている風な表情を見せていたのですが、次のバス停・停車時間に間に合わせるべく運転手は申し訳なさそうに話もそこそこに切り上げて高速バスは発車。
私は一番後ろの席に座っていたのでその男女の動向を最後まで見ていたのですが。。。。
この道路をずーっと進んでいくと高速道路・沖縄南I.C出入口道路の下をくぐりながら再び沖縄南I.C料金所に戻るわけなのですが。。。
ハッキリ言いまして、この道路は歩行者禁止の通路なわけです。高速バスのみ通行可能な専用道路なんですね。
それなのに、何故、高齢男女二人はトンネル奥に向かっていったのか?
私は高齢女性の歩行の在り方に着目していました。
彼女は那覇空港・高速バス停乗り場で少し しんどそうにバス停に両手を這わせて寄りかかっていたのです。
バス停を両手でプッシュするような動作も時折見られたので、何だか気にかかるものがありました。
パッと見の身体的特徴は、猫背気味でがに股というものでした。
そういった方の歩行特徴は、すり足で歩行速度もかなり遅く、階段の昇降一つ一つにもかなり負担がかかるものです。一般的に、高齢者は、股関節・ひざ関節・腰に痛みを抱えながら杖歩行・すり足で歩行されていますよね。
ここからは私の推測ですが、高齢男女は、この階段を昇って県道に出る事が無理だと判断したのではないか?と。
健常者なら訳ないんですよ、この階段なんて。
しかし、下肢筋力低下が顕著の高齢者ならこの階段はかなりキツイでしょ?
しかもキャリーバッグを持ち上げながら段差一つ一つを乗り越えていくなんてまず無理なんです。そんな気力が湧かないというか。
ここでハッと気づかされたんですが、高速バス利用に関して、足元が不安定な高齢者・外出先でバリアと向き合う車椅子ユーザー目線で乗降設計が成されていない、うとぅいむち(おもてなし)沖縄の実態を。
県道・国道から高速バス停までのアクセスも健常者設計
ついでに近くの高速バス停・乗降所もチェックしてみました。
宜野座 高速バス停
何てことない風景に見えますが。。
手前の歩道からバス停乗降所へアプローチする際に縁石をクリアしなければならないんですよね。
たかが縁石、されど縁石。
地面からおよそ15センチ強の高さは、車いすユーザー単独では乗り越える事は無理で、車いすの取り扱いに慣れた介助者でなければこのバリアを超える事は出来ないのです。
金武 高速バス停
金武町の高速バス停は、歩道から乗降所へのアプローチが容易に設計されていました。さすが我が故郷金武町、福祉に手厚い町ですからバリアフリーへの視点はなかなかのものです。
石川 高速バス停
うーん、やはり厳しいですね。
やはり縁石が邪魔くさい。
こうやって高速バス停をいくつか巡ってみると統一基準で設計されているわけでなく、国道・歩道との兼ね合いを経て現在の状況に至っているようですね。
バス利用が浸透しない要因はマイノリティ(社会的少数者)を含めた環境整備の配慮不足にある
上り・下り全個所の高速バス停乗降所のリサーチを行おうと考えましたが、本業の介護タクシー運行に若干差支えるので(苦笑)、ここまでにしておきますが、高速道路を走っている中で視界に入ってくるものでも各所バス停へのアプローチ(高速バス停までの歩道・段差・傾斜・凸凹・階段)は決して優しいものではありませんね。
現在の所、全てに近いほど、健常者しか利用できない前提でバス利用の導線が設計されているのです。
本土のように電車・新幹線・モノレールの鉄軌道整備が行き届かないクルマ社会の沖縄県では、バス利用の促進を図って渋滞を減らそう・少しでもウォーキングを行ってもらって健康増進の為に という理念のもと、わった~バス党なる組織を立ち上げ活動を行っているのですが。
サイトを拝見すると、
- OKICA電子マネーによる運賃支払い簡素化でバス運転効率アップを図る
- バス停のグレードアップ整備(屋根付き・時刻表を見やすく・ベンチ配置)
- バス車両にGPS搭載でスマホアプリと連動させてバス到着時間の情報提供に努める
- 車いすユーザー・高齢者へ優しいノンステップバス導入
- 急行バス実証実験による移動ストレスの軽減活動
などに力を入れているようですが、これは路線バス限定の活動なのか。
高速バスはどうなのか、リゾートホテルと那覇空港を繋ぐリムジンバスは対象外なのか。
いろいろと疑問がわいてくるわけなんですね。
ホワイ?高速バスにノンステップ車両がゼロの現状
まずもって、今回利用した高速バス・リムジンバス(写真撮り忘れた)にはノンステップバスは導入されていないわけで。
ノンステップバス導入にはその年度に交付される補助金や一括交付金の絡み・予算の縛りも関係して投入数にも限界はあるでしょうが、平成30年において未だに一台すらも高速バスにノンステップタイプ車両が導入されていないのはどういう理由からでしょうか。
機会均等の観点から、マイノリティの車椅子ユーザーにも足元が不安な高齢者にも乗降のしやすいノンステップパス導入を強く求めたい所。
だって、健常者は、観光や旅行を行う際に、
- バス(路線・高速・リムジン)
- タクシー(ジャンボ・観光・一般)
- モノレール(ゆいレールも入れとくw)
- 電車
- 新幹線
- 飛行機
- レンタカー
を利用する前の段階で
乗れなかったらどうしよう…乗る事出来るかな…
自分の座る場所ってあるのかな
段差・すきまへの不安をサポートしてくれるスタッフは介助慣れしてるかな?
乗降しやすい車両なのかな?
とは思わないですよね?何故なら、健常者は、登れて走れて歩けて超えて潜り抜けてすり抜けて踏ん張れて という基本動作を難なくこなせるから。出来るから。
いわゆる交通弱者と呼ばれている方たちは、旅行・観光を決断する際にこのような一抹の不安を抱えて臨むわけなんですね。
目的地への移動手段にそのような配慮がなされていなければ(設備・人材共に)、諦める・諦めざるを得ないという事も十分にあるわけです。
化石時代の名残を踏襲、未だ現金決済のみ 全国共通の電子マネー・クレカ決済を求めたい by Higy Way Bus
まぁ、困りましたよ、降車予定地近くになって財布を取りだすと、現金2万円とクレジットカード・スマホにおサイフケータイ¥2500分しかなかったので。
「あれ?今って、運賃後払い方式だっけ?何か出入り口に電子マネー決済機みたいなものが見えたけどあれって楽天Edy使えるのかな? 使えなかったとしてクレカ決済OKになったんだっけ???」と不安疑問がよぎりまくるわけです(笑)
ここで、「高速バス利用に関して事前リサーチしておいてきちんと現金準備しておけよ」という突っ込みに関しては、一切合切ぐうの音も出ないのですが、クレカ・電子マネーのスピーディー決済が誰の目に見ても明らかな2020年 東京オリンピック・パラリンピック開催前の現代において、
降車ボタンを押した後に運転手横に設置された運賃回収箱で両替を行い、小銭をほじくりだして時にこぼして、あれいくらだったっけ??とお金勘定をやり直すこのシステムをこれからも改善していく気持ちはないんでしょうか。
※後ろに並んでいる乗客の「早くしてくれよ~」オーラがとても気まずいんです(苦笑
もっと突っ込むと、
OKICAなんていう沖縄県内限定でしか利用できない電子マネーでは本土の観光客・インバウンド観光客目線で使い勝手が悪いわけなんですね。
クレカ決済が日常のインバウンドやポイント還元にいそしむマイラー・ポインター(←合ってる?)にとって、高速バス・リムジンバスに全国共通オンライン決済システムが常態化されると、今よりももっとバス利用者が増加するだろうと見込んでいるのですが。
少なくとも私は今まで以上にバスを利用したくなりますね。
ノンステップバス導入に合わせて利便性あるオンライン決済の更なる充実を強く求めたい所です。
振り向けば沖縄南I.C
さて、長々と呟いてきましたが、ここにも利便性を求めたいのです。
この解決には、やはり、エレベーター導入が低コストで現実的でしょう。
赤線部にエレベーター設置、
黄色部の傾斜をフラットに整備して白線内側に柵を設置すれば宜しいんじゃないかと。
分かっています、
たかだか介護タクシードライバー程度の外野が
既存のシステム・設備状況に突っ込みを入れるだけ入れて予算編成の苦労も分かった風な口調で講釈垂れやがって
ネットで憂さ晴らしするんじゃねぇよ
それを簡単に出来ないから苦労してるんじゃねぇか……!みたいなボヤキも。
しかしながら。
本土並みの鉄軌道整備も十数年後先のなか、
観光客数1000万人を超えて2021年度までには更なる観光客増加1200万人を目標と掲げてしまった最中、
レンタカー増加・クルマ社会沖縄の実情に鞭を入れるように煽りの空気を作り上げている中、
更なる更なる慢性交通渋滞も促進させていく中、
そんなムードで今後も沖縄観光を盛り上げようと攻めていくなら、
交通手段の分散化を幾分でも狙って、高速バス・リムジンバス・路線バスの利便性を今以上に整えないと、不便なバスを利用するよりはレンタカー・タクシーを利用しちゃぇ的な流れは変わりませんし、高齢者でも障がい者でも誰もが平等に移動の選択肢をチョイスできる、本当の意味での豊かに楽しめる沖縄観光の実現には至らないんじゃないかと 一介の介護タクシードライバーは思うわけなんですが。