先日、濃密で濃厚な講演会に参加させていただきました。
介護タクシーという運行業で沖縄にいらっしゃる障がい者や移動困難者に観光を楽しんでもらいたい、それにはどうアプローチすればいいか?検索サイトをあさっていた過去のワタシはそのベルテンポ様のサイトにたどり着いたのでした。
そこにはワタシの常識を覆される衝撃的な発信が見られたのです。
当社ではお体が不自由な方を対象としたヘルパー・介護・介助サービスは提供しておりません。
は?
旅行を諦めている障がい者や高齢者に対して介助を行わない?そんな事でいいのだろうか。
更に読み進めていくと。
ありきたりの格安ツアーや忙しいだけのパックツアーでは旅がしたくない方、こころから感動する旅がしたい方、トイレが近い、ゆっくりとしか移動が出来ない等 旅や移動に制約がある方、旅行を通じて元気になりたい方、そんな皆様の為に手づくりの旅を企画しています。
ワタシはここの一文にも魅かれ即、メルマガ登録をさせてもらいました。それから早2年が経過していたころワタシの郵便受けにベルテンポ代表の高萩様から今回の講演会のご案内を頂き、参加となった次第なのです。時折配信されるメルマガには世界各国からの旅の状況や、高萩様が考えられるバリアフリーについての概念・日本人が改めて考えるべき福祉への捉え方が記されておりいつもその刺さる情報発信に感銘を受けていました。
旅をあきらめている方は『どこ』の部分が気になっているのか
ワタシが考える、障がい者や移動困難者が旅に求めているのは第一に丁寧で配慮が行き届いた介護・介助である、と思っていました。今でもその部分は間違ってはいないと思っています。
しかし、ベルテンポが提供する旅には過剰な介助が一切ありません。余計な介助がかえってお客様の心理や精神に負担がかかるという事を幾多の失敗体験から導き出したのだそうです。
確かにそういった経験がワタシにもありました。
リピーターの車いすユーザーお客様がふと漏らした言葉にそのベルテンポの理念を匂わせるものがありました。
「友達の経営する居酒屋で同期会があってさ、皆が寄ってたかって私のトイレ介助とか車いすの移動などに関わってくるのよ(笑) 勿論、私の事を気にかけてくれているのは分るんだけどその気遣いが返って苦しいのよ、気を使わせて悪いなって。また、介助の素人なもんだから車いす移動にも慣れてないし逆に事故が起きそうで怖かったりするのよね。」
なるほど。
いつものルーティーンで日常生活を送っている障がい者や移動困難者は食事や排せつやベッドから車いすへの移乗など自分がやり慣れている・その方がストレスがかからない、、というものが形作られている。そのルーティーンが良かれと思って関わった介助によって崩される事を良しとしないのでしょう。
相手が自分の事を思って介助をしているだけに余計に心が痛むのだろうと思います。
貴重な時間とお金を払って日常のストレスから解放されたい、非日常を味わい尽くしたい、、という旅本来の真髄が過剰な気遣いで壊されてしまっては元も子もありません。
お客様が旅に求めている事は何か
どこの部分を助けて(介助)欲しいのか
何を(目的地・体験)味わえば満足できそうか
何をして欲しくないか(介助・気遣い)
そういったニーズをお客様からお問い合わせの段階でしっかりとお伺いし、旅に来てよかったと思ってもらえるようなココロ配りを事業者・サービス提供者は取り組む必要があるようです。
日本人特有のきめの細かいサービスは海外から賞賛される一つの要素ではありますが、私たちは無意識の内にそれを行えば喜ばれるだろうという思い込みに縛られているのだと思います。
世界各国を移動困難者と旅を通して経験したベルテンポならではの理念が今回の講演会を通して再確認できた次第です。