- スマホ・アプリで車両を呼び出し、料金はタクシー運賃の半額ほど、お釣り用意の心配もいらないクレジットカード決済のウーバーXの日本上陸 何とかなんないの?
- そりゃあ、今よりも運賃が半額になるなら利用回数は上がるでしょう、私らにとってはありがたいですよ 障がい者も年金暮らしで外出頻度は少ないですから
- 道は間違えるわ、ドライバーがナビも使えないわ、遠回りされるわで運賃高いときたもんだ、タクシーもオワコンでしょ。自動運転普及で淘汰されるんじゃないの?
- オッサンくせぇ車内空間に閉じ込められて不快な思いして運賃は高いし。ドライバーに教育行き届いているの?
介護タクシーと言う旅客自動車運送業を営んでいる以上、これからのタクシー業界という未来への視点を見据えながら、ネット上に散見する異業種分野の経営者達からのタクシーに対する提言、又、タクシー乗客の意見をほぉほぉと参考にさせてもらうなかで、
タクシー運賃高くてどうにかならんか説
が時折見られるのでそれに対してタクシードライバー歴11年のオッサンが遠吠えしてみたいと思います。
運賃半額なら利用回数倍増 説
一瞬、そうだろそうだろと首を縦にふりがちだが、
他に移動の選択肢(家族・親せき知人の自家用車に頼る・バス・電車・白タク)がある中で、運賃が今よりも半額になったからと言って利用回数が単純に倍増するとは素直に思えないですね。
アンケート資料によると、タクシー利用頻度はこのようになっており。
ほぼ毎日 0.1%
週に1,2回 1.5%
月に数回 12.7%
年に数回 55.0%
利用しない 30.6%
引用元・平成27年度・国土交通省 自動車旅客課実施アンケート調査資料より
併せてタクシー利用目的も添えて。
夜間など他に公共交通機関が無い時に 40.7%
仕事 14.0%
レジャー(観光含む) 13.0%
悪天候時 8.1%
通勤・通学 1.4%
引用元・平成27年度 国土交通省 自動車旅客課実施アンケート調査より
利用頻度、そして、半数近いパーセンテージを叩き出した利用目的の「他の公共交通機関が無い時に」からも伺えるようにタクシー利用に際して、一般的には、積極的に活用するという視点ではない
事が読み取れます。
それは運賃が高い事が最大の理由として上げられるでしょう。
例として挙げますと、沖縄の路線バス(名護東線77)で10キロの距離を移動すると、バス運賃¥560に対し、タクシー運賃なら¥2500。実に4倍の開きがある。
やっぱり高いですね。
まぁ、タクシーにはタクシーにしかない価値があるんですけど(苦笑)
例えば、
年収1000万以上の役員・経営者らは移動中のプライベート空間が確保されていて、その移動車中でメール処理や読書を行い、ビジネス構想を図るにうってつけな移動手段がタクシーだという事で一部に経営者・役員に好まれているようですし、
影響力のある芸能人・タレントらの移動手段にもタクシーが活用されています。
電車・バス・新幹線では他の乗客らの目線や、ファン対応などに配慮しなければならないですがタクシー移動ではその心配がないわけです(ウザい運転手は論外
因みに自家用車を所有していながら、かつ、タクシードライバーである私が一般タクシーを利用する目的・状況とは
- 月に1,2回の交際に、片道5キロ圏内の居酒屋へ出かける時に、自家用車で向かえば運賃よりもガソリン代コストは安くつくものの、帰りの運転代行がなかなか捕まらなくてすぐに帰れないというストレスを味わうよりはピンポイント輸送のタクシーが便利だから
です。
今や、タクシー業の不況もあって運転手のなり手が少なく、手配を呼び掛けても10分以上待たされて逆にストレスを上塗りしているのですが(苦笑)
運転代行業のドライバー不足も例外でなく。
改めて自分のタクシー利用の目的そして利用頻度から振り返ってみても、日常生活において積極的活用には至らない事がわかりました。
高い運賃がネックな事、他の移動手段が整備されていて、緊急性を要しない限り、人々はタクシーを親しんで活用するという意識には基本、至らないんですよね。
運賃半額以下でタクシー乗客メリット増・タクシードライバー負担増
単純計算ですが、乗客単価¥2000で一日あたりの乗客回数50回なら日商は10万円を売り上げるタクシー車両があったとします。
運賃半額実施で乗客単価¥1000となれば10万円稼ぐのに100回の乗客回数をこなさねばならない。それは乗客の命を預かるドライバーの身体・精神に負担が増すだけ。
乗客はありがたいがドライバーはしんどい。経営者はもっとしんどくなる。
IT活用・ウーバーの稼ぎって?
タクシー業界からの反発もあってここ日本では、ウーバーは一般市民が活用できない現状ではありますが、
アメリカではウーバーシステムで稼いでいるドライバーも平均時給¥1400というデータもあるようですね。
複業という視点ではうってつけの運行サービスと言えるウーバーシステムですが、身体を酷使して乗客の移送ニーズに応え、乗客回数を重ねる事で売上を確保するという意味では、タクシードライバーと何ら変わらず、その上、タクシードライバーよりも半額以下の運賃で人件費・ガソリン・保険・修繕費を賄わなければなりませんから、事業運営という意味でもそう簡単ではないと思いますね。
勿論、売り上げからウーバーシステム手数料がさっぴかれるわけですし。(20~25%らしい)
何が言いたいかというと、タクシー業界において、万が一、乗客ニーズの運賃半額を仮に実施した際、今まで以上の労力をドライバーが投下しなければ売上確保もままならないという事。
ただでさえ稼げない職種と揶揄され、最近では、酒乱に絡まれて事件事故に繋がるリスクも多分にはらんでいるというタクシー事業。
タクシー運賃が現在よりも半額以下で利用できるとなった場合、それは、ドライバー自身の体力・精神力が今まで以上に削られるわけで、そんな運行体制では乗客の安全性を担保するにも危険性が伴い、事業運営すらもままならなくなるのでは?というのが私の見方なのですが。
人間が労力を投じる事で車が動いて乗客を移送して対価を頂く という仕組み上では運賃半額はあり得ないと言えるでしょう。
自動無人運転システムやウーバーX上陸によりタクシーは淘汰される?
消費者・利用者は時に残酷です。
今よりも便利で安くて使い勝手の良いサービスが世に出ればそれに飛びつきます。
人を介したフリーマーケットよりもメルカリ転売
共同売店よりも24時間OPENコンビニ
店舗購入よりもAmazon決済
クルマ所有よりもカーシェア
顧客の要望に応えて目的地まで送り届けるタクシーとて例外でなく。
移送の安全性が確保され・料金決済もシンプルに・道路交通法の問題や事故発生時の責任問題など、諸処の課題がクリアされれば消費者は間違いなくそちらをチョイスします。
現在働いている高齢者のタクシードライバーが、
体力の低下などを理由に(安全性の観点からも)退職してくなかで、若手の担い手も出てくる光すら見えず、これからのタクシー事業の在り方は確実にゆるやかに自動運転・無人運転へとシフトしていく事でしょう。
私はそう見ています。
そして、その方が、長期的視点でみて障がい者にも健常者にも優しい世の中になるはずなんです。
そんな世の中の到来を、駅前ロータリー待機場のタクシー車中の中で経済新聞を広げて目の当たりにするタクシードライバーが、仕事の意欲をそがれ、乗客に満足頂くために運賃以上の接客サービス・運行を提供しようと思えない心理も分からなくはないですね。
かといって正当化もしませんが。
福祉・介護タクシーの未来は?
タクシー運賃プラス介助料金、状況に応じて福祉機材使用料金も加算される福祉・介護タクシー(民間救急ふくむ)ドライバーは、これらの動向を踏まえながら日々を積み重ねばならないですよね。
個人的な脅威は自動運転による移動システムの到来でしょうか。
テクロノジー技術の進化・革命により、機械・システムに任せられる事は任せていこう という見方は業界問わずですよね。それって福祉・介護タクシーでも例外ではないと思っていて。
ベッドから車いすへの移乗介助・レジャー施設内での付き添い介助(車椅子移動・トイレ介助・食事介助など) バリアフリー観光地・飲食店・アクティビティへのご案内などなど、
一般タクシードライバーよりも労力(介助・接客)の提供が更に重要視されるこの福祉・介護タクシー運行業は、一般タクシーに比べると、すぐさま業界淘汰の危機にさらされるとは考えにくいですが、
それすらも保障できないほど目まぐるしく時代は変化していくので。
身体介助アシスト機能(自動音声案内・リフトアーム機能で車椅子乗降をより楽に安全に)
も備わった自動運転車がタクシーを利用するよりも割安で活用できるなら、
障がい者らはそちらに流れるはずですしね(苦笑
障がい者らがどんな事に悩んで
高齢者らが何を求めて
それらを絡めて
福祉・介護タクシービジネスで培われたリソース・強みを活かして展開できるように働きかけていく事が持続性のあるビジネスに繋がるんでしょう。
ITテクロノジー技術には成しえない人のぬくもりで勝負するか
ITテクロノジー技術と合わせたハイブリッド的移送サービスを試みてみるか
タクシー運賃半額話題からこんな所まで話が飛んでしまいました(笑)