自己認識のみで言わせてもらえれば私は愛想がよくない。
愛想がよくないと認識出来ているという事は
好かれたいとは思っていなくて、最低限の距離感だけ保てればそれでよしなのである。
しかし、これは主観である。
相手はどのように見ているのだろうか、花城健という人間性を。
他者が私のふるまいを見て、
「顔面シワシワだけど案外優しいんだね」
「頭皮スケスケだけど細やかな気配りするんだね」
「モテそうに見えないけどその通りなんだね」
と思っており、そこに好意と言うか親密さは感じるやもしれない。
しかし、人間と言うのは分からないものなのである。
あんな人だとは思わなかった。
そういう事する人だとは感じなかった。
このような言葉は社会人となれば陰口の常套句として使用される。
私が居合わせない場末のスナック来夢来人や
私がたまたま欠席したモアイ(沖縄独特の交流を前提としたお金を融通しあうシステム)の場で一度や二度や三度くらいは発言されているはずである。
何も、自分を卑下しているわけでなく、人間の本質はそんなところにあるし、
当人のいない場所でささやきあい笑い合うものなのである。それこそが人間らしいともいえる。
そして、ここからが重要なのだが、あんな事をする人だとは思わなかった、と言う捉え方はその人がそう思いたかった、という思い込み前提が覆された発言であり、それは傲慢な考えであるともここに断言しておこう。
私にとって貴方はそうであってほしい
という都合のいい解釈だともいえる。そして、そんな都合よく思われちゃこちとら具合悪いよ、と感じたりする。
もう一度繰り返すが、人間とは分からないものなのである。
人間とはわからないものなのである、という事が謙虚に認識できていれば
ぼったくり被害を避けられたり
詐欺に騙され数百万・数千万の借金を抱えたり
相手に裏切られたとか
必要以上に落ち込まずに済むものなのである。
(私はこの認識で大きく騙されたことはない)
なので、
私の事を優しいとか優しそうとか優しいはずだよねと今現在思い込んでいる方は
考えを改めるべきであろう。そんなにいいものでもないし、
そういう人であってほしいという願いも今すぐに東シナ海に放り込むべきだ(妄想癖35年の賜物)
先日のお客様の送迎を書き綴ろう。
冒頭でも述べたが、
私の基本的なスタンスは好かれようと思わない、事を前提にコミュニケーションを図る。
だからと言って、ぞんざいな接客・対応をするというわけでもなく、勿論、利用して頂くお客様・ご家族には移動・外出する事の喜びやそれを感じて頂くための健康維持に欠かせない送迎に全力を尽くし、介護タクシーを利用した事で少しでも笑ってもらえたり料金以上の価値を感じて頂けるように熱を注ぐ(結果、薄毛が進行してしまふ)
でも、好かれるとハッキリ言って嬉しい。メンドクサイ運転手なのである。ごめんなさい(笑)
介護タクシーという移送のお仕事をしていると、
ご利用なさる障がい者本人や付き添いご家族と車内空間を共有するもので、
限られた移送時間・空間がお客様にとってどのような状態が
より良いカタチなのかを試行錯誤している。
リピーターを大事にすることがこのお仕事の肝であるので
分かりやすい言葉でいえば好かれないより好かれた方が継続的なご利用に繋がり
売上も安定しやすいものになる。
先日のお客様の通院利用の事例でいえば、まずは挨拶と一言二言、
言葉を投げ掛けて相手が
安全な移送のみを臨んでいるのか・対話も望まれているのかの見極めを行う。
この見極めの精度を上げる事がタクシードライバーとしてのビジネススキルの有無だと思っているのだが、お客様はたどたどしい発音ながら返事をしてくれた。
どうやらおしゃべりは嫌いではなさそうだ。
構音障害のお客様との会話は半分ほど成立しない。
相手の言葉が明瞭に発声されないので「えっ?」と聞き返す事が多く、また、
前方道路の安全も確保しながらなので、意識の配分を両方に振り分けながら何とか成立させようともがく。
何とか相手の伝えたい事は何だろう?とコンマ数秒に自問自答する。
そして、「こういう事を言いたかったのかな?」の憶測を立て
お客様との対話をすり合わせていく。
例えるなら、
のようなミスラリーも当然起きて、微妙な車内空間にもなる(笑)
病院でお客様ご家族へ引継ぎを行い、
診察終了後に迎えのコールを貰いお客様を乗降させている最中、
「いつもは病院内で苛立って声を上げたりするんですけど、花城さんとのドライブが楽しかったからなのか落ち着いていました。ほら、笑顔になって…(笑)」
とお気遣いの言葉を頂いた。
好かれようとは微塵も思わず、もがいた結果、
好感を持ってもらえたのだろうか。
不思議な感情が湧き上がりながらもお客様を施設へ送り届け、お別れの挨拶をし、
介護タクシー車両へ向かうと後方からまたもやたどたどしい言葉で・大きな声で
「ぇあお~ぃがぉおお~!」
と、馬場チョップを食らわすかのような左手の動作で私に手を振ってくれた
お客様を20メートル向こうに確認しながら、
ふわっと笑顔がほころぶのであった。