2017年10月に書き下ろしたジャパンタクシーの評論記事を、人様にほこれる肩書などまったくない福祉タクシードライバーの私がリリースし、半年以上の時間差を経てアクセス上昇というタイムラグと世間の評価にいささか驚いている次第です。
私がリリースした当初なんて、検索TOPページには
「スゴイ!車椅子も乗れるなんて これがオモテナシ精神溢れる日本の職人技だ!」とか
「流しで車椅子ユーザーも移動が可能な時代、ユニバーサル社会にフィットしたグレイトなタクシーだ!!」
ていう、ヨイショ記事がTOPを占めていましたからねぇ………
この記事で指摘したのは、
乗降アプローチに関わる車両設計・付帯設備が現場目線(乗務員・車椅子ユーザー)に寄り添っていない構造
です。
ジャパンタクシーを導入した事業者も研修制度を設けて何とか1分1秒でも早く乗車して頂こうという奮起が全国各地で起きているようです。
1回の講習(@。@)
番組では、バリアフリー研究所の木島英登氏に同行、ジャパンタクシーに乗降する場面を取材
運転手は「1回の講習だとなかなか覚えきれないので、YouTubeの講習動画で何度も見ている」と明かす。
2020年には障害を抱えた訪日外国人が7万5000人に! https://t.co/0R0spdUGpq
— タクドラ・ブラックモア(°Д°)! (@black69more) 2018年8月14日
「動画を何度も見て練習している」という、この乗務員の献身的な姿勢は必ずや現場の車椅子ユーザーに真心として伝わるでしょう。
私としても、このような熱意ある乗務員が奮闘されている事を誇らしく感じるわけでして。
しかしながら、その乗務員が汗を流した時間の蓄積が、福祉目線と顧客視点に欠けたジャパンタクシーの構造部分を補うには不足が大きい。
乗車回数アップ=売上(運賃)増 という流し営業のタクシー経営観点からも
「早く乗りたい・早く目的地へ着きたい」という車椅子ユーザー視点からも
この凹の埋め合わせはかなりの負担を強いられるでしょうね。
ハッキリ言えば、焼け石に氷水 くらいの苦肉の策かと。
ユニバーサルタクシー(誰でも乗りやすい)と謳ってしまったが為に、現実とのギャップが大きく取りざたされ、傷口に塩を塗りこんでしまった印象は否めません。
さてさて。
ユニバーサルデザインタクシーとは、健康な方はもちろんのこと、足腰の弱い高齢者、車いす使用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など、誰もが利用しやすい”みんなにやさしい新しいタクシー車両”であり、街中で呼び止めても良し 予約しても良し の、誰もが普通に使える一般のタクシーです。
引用元:国土交通省 地方運輸局 「教えてUDタクシー」より
この文面を読み込んで日本国内を駆け回るジャパンタクシーの実情をとらえてみると、むしろ痛々しささえ覚えるわけでして、もう一つのユニバーサルタクシー・日産NV200の方が車いすユーザーに取ってもタクシー乗務員にとっても便利でスピーディー運行を提供できる車両であろうと思うわけなんです。
そんな戯言はさておき、
先ほどの引用文にも、誰もが利用しやすいって書いてありましたが、
誰もが利用しやすく・乗客に支持され続けるユニバーサルタクシーを本気で実現しようと思うのなら、国産メーカーは以下のポイントを押さえた設備を全車標準装備すべきで、そこにコストと情熱を注げないようでは、ユニバーサルタクシーなんて耳聞こえの良い名称は東シナ海か南シナ海に放り投げるべきなんです。
ユニバーサルタクシー 設備標準化POINT
❶助手席側・運転席側から車内アプローチを容易にする自動補助ステップand手摺り
❷スピーディーかつワンタッチ操作 車いす乗降スロープorリフト
❸スピーディーかつワンタッチ操作 車いす固定装置
❹車いすユーザーアイポイントからのクリアな視界確保設備
❺ゆとりある車椅子ユーザースペースand定位置フロア面のフラット化
➍に関しては「窓枠拡大」か「フロア面上下昇降機能」どちらかを備えないと実現しないと思っており、何が言いたいかというと、健常者が当たり前に見ている景色を同じ目線で共有できるようにしましょうよ、という事を強くお伝えしたいんですね。
それに関して、クドクド書いた記事もご覧ください。
国連障がい者の権利条約を批准したはずのウルトラスーパー先進国 日本
突然ですが、国連障がい者の権利条約って知ってますか?
私なりに解釈して私なりに表現してみると、
- 段差があるなら車椅子ユーザーがスムーズに通行できるようにフラット化orスロープを整えるべき
- 発語出来ない聴覚障がい者が買い物に来たなら、手話or筆談ボードを活用してコミュニケーションをとるべき
- 視界がぼやける弱視の人には出来ない部分をお手伝いして、盲導犬と共に入店した全盲の視覚障がい者にはお店のサービスを健常者同様に提供すべき
- 落ち着きがない・協調性が無い・意思疎通が難しい発達障がい児・者には、彼らの長所を探りフォーカスして、それらを活かす教育と就労機会を与えるべき
- 幻覚と幻聴の症状に悩む精神障がい者には眉間にしわを寄せて突き返すのでなく、ただ、フラットに接するべき
だと思うんです。
障がいを理由として個人の尊厳が侵されてはならないし、自分で物事を判断し決断する自立を阻害してはならないし、見た目だけで差別してはならないし、短所と向き合い長所に磨きをかける就職と教育の機会を同等に与えるべきだし、施設・観光地・体験サービス利用を否定してはならないし、移動の手段を選択し個人が容易に移動できる環境と設備を整えるべきだし、障がいを理由として社会参加を拒んではならない。
誰もが等しく機会(チャンス)を与えられる。
障がい者権利条約の〝骨子〟ってそういう事でしょう。
ユニバーサルタクシーを創って公の場で循環させる事は、この障がい者権利条約の〝骨子〟を、車両製造メーカー陣が身体に染み込ませていないと創れるはずがないと思えてくるんですよね。
顧客の要望と目的地にピンポイントで応え、機動性・迅速性こそ最もな価値であるタクシーのエボリューション的存在、次世代ユニバーサルタクシー製作に照らし合わせるなら、
ユニバーサルタクシー 設備標準化POINT
❶助手席側・運転席側から車内アプローチを容易にする自動補助ステップand手摺り
❷スピーディーかつワンタッチ操作 車いす乗降スロープorリフト
❸スピーディーかつワンタッチ操作 車いす固定装置
❹車いすユーザーアイポイントからのクリアな視界確保設備
❺パーソナルエリアを圧迫しないゆとりある車椅子ユーザースペースと定位置フラット化(斜め姿勢は疲労蓄積となるから)
を標準化とし、オプションとして(これも標準化求めたいけど⤵⤵⤵)、
➏料金収受を簡素化し目で確認できない視覚障がい者へ配慮した音声読み上げ機能付き クレジット・電子マネー決済設備
が整えられれば、
- 健常者も
- ベビーカー・福祉バギーを操る妊婦さん主婦も
- ヘビー重量(100㌔以上)が手足となる電動車いすユーザーも
- 関節可動域に制限のある高齢者・片麻痺・リウマチ者も
- 弱視・全盲の視覚障がい者も
- 難聴・ろう者の聴覚障がい者も
これこそ、誰もが使いやすいユニバーサルタクシーの誕生となるわけでしょう。
それが実現となれば、インバウンド観光客へも大きなPRとなりますし、2014年9月に効力を発動(国連 障がい者権利条約)しながらも国民へ周知徹底させず、また、障がい者の実情を知ろうともしなかった日本国民の・メイドインジャパンの誇るべきレガシーになるんじゃないでしょうか。
クルマ創り大国 日本に求めたい福祉的情熱
マジョリティー(社会的多数の健常者)向けにリリースする乗用車をベースとして、福祉的設備を付け足そうとするからダメなんですよ。
企画段階からマイノリティー(社会的少数の障がい者)でも快適で活用しやすいクルマ創りの開発に本気になれないもんですかね?
欧州・欧米に知らしめてやりましょう、国産車両製造メーカーの皆さん。
世界ナンバーワンの技術大国・日本のオモテナシはこういうものだぞってね。