突然ですが、車椅子ユーザーが外出や移動に活用する福祉車両ってどんなイメージを抱いてますか?
大体このようなイメージを持たれているのではないでしょうか。
移動にハンデを抱える人たちとの触れ合いが日常にない健常者たちからすれば、そもそも、福祉車両についてそこまで深く考える機会もないし関心は無いよね…という所が正直な反応ではないかと邪推してしまいます(苦笑
私もこの仕事に携わっていなければこのような心持だったと思います。
例えば、本屋さん巡ってみても、スポーツカーやSUV・ミニバン特集の雑誌は毎月リリースされるのに、福祉車両系の記事や雑誌ってモータフェスティバル開催前後の限定期間でしか見られませんものね。
時代は移り変わり、障がい者が自身の限られた身体能力を活かして自ら運転する喜びと行きたい時に行ける快適環境が手に入るような時代となりました。そのターゲット向けの福祉車両は見た目にこだわったカッコいい車両がメーカーよりリリースされています。
ですが、事業車両として想定された福祉車両の外観デザインは相も変わらず見栄えしない・購入者のアドレナリンを掻き立てない無難な路線を突き進む傾向が見られますね。
福祉事業車両ってそこまでデザインにこだわる必要はないのでしょうか。
福祉事業車両ってハンデを抱える人の利便性に特化した車両構造にだけフォーカスしておけばそれで良いんでしょうか。
そんな疑問が以前からふつふつと湧いておりましたので、介護タクシー車両買い替えの段階では乗務員自身(私)がワクワクするクルマでなければならない、、と心に決めておりました。
福祉/介護事業車両はこうでなければならない説からの脱却
介護タクシービジネスに絶対欠かせない車椅子仕様車両や、一度に10名以上の高齢者を送迎するデイサービス車両は「事業車両」という位置づけで、その移動用途に沿った設計・開発が車両製造メーカーによって行われています。
このお仕事を続けて7年目辺りからでしょうか。
「何か、福祉車両ってカッコいいデザインのやつがないな…」
「何でこんなオーソドックスなボディカラーしか設定されてないんだろう…」
って疑問がわいてたんです。
いよいよ事業車両買い替えの時期となった時、
ググってリサーチを重ねていくと、どうしても無いんですよ、外観デザインにこだわった車椅子2脚仕様の福祉車両が。
このブログを読んで初めて介護タクシーを知った人の為にかいつまんで説明すると、介護タクシービジネスを運営していく中で、車椅子ユーザー2人以上の同時移送を求められる機会って必ず出てくるんです。 その同時移送に応えられる車両仕様が「車椅子2脚仕様」と呼ばれています。
「2人で外出したい・一緒に出掛けたい」「2人同時にクリニックへ移送したい」という依頼が何時くるかは分からないけれど、確実にある移送ニーズとピンポイント輸送に応えられる交通機関の介護タクシービジネスを運営するなら、車椅子2脚仕様には是が非でもこだわらなければならないんです。
備えあれば憂いなしの姿勢が介護タクシービジネスには求められます。11年運営してきて痛感する所です。
しかし、どんなにググってもイケてる車椅子2脚仕様はリリースされていない。
何だかモヤって直接トヨタに問い合わせたんですよ。
そうすると、
メーカー側の認識というか潜在意識の中で、福祉事業車両は、ハンデを抱えた方の快適移送が最優先事項であり、外観に至ってはそこまでこだわる必要はない…というものなのでしょう。しかしながら敢えて言わせて頂きたい。
福祉事業車両こそカッコよさに拘るべきなんだと。
乗客は快適移送の先にある優雅をも求めている
洗車が行き届いていないとか車内清掃がされていないタクシーは論外として、乗客って、「どうせ乗るならダサいよりはカッコいい方が良い」と無意識レベルで感じていたり、親しい人の大切な待ち合わせ場所へ駆けつける時には上質で優雅な送迎車で出向きたい…という欲求が少なからずあるはずなんですネ。
例えば、結婚式披露宴に参加する車椅子ユーザーの服装もおめかししてバッチリなのに、送迎するタクシーが如何にも業務用車両という外観だったら雰囲気ぶち壊しじゃないですか(苦笑) 私が家族側の立場ならもう少しマシな格好のクルマ用意してくれよって思うんですね。
大人になればTPOに沿った着こなしやふるまいを求められますよね。
福祉事業車両が活躍する送迎シーンもその場の雰囲気を壊さずに、むしろ、乗客を誇らしげな気持ちにさせてくれるワクワクしたクルマであって欲しいんです。
タクシー車両買い替えにあたって「ブラックってどうなの?なにか葬儀車両を連想させるような気もするし、福祉系移送にはミスマッチな気がしないでもないから止めた方が良いかな…」と思っていまして、
その〝負〟のイメージを和らげるべく屋号表記のマグネットステッカーのデザイン・配色にはこだわり、就労支援事業所:sorato(ソラト)制作のカラフルマグネットを差し色に組み込めば大分イメージは変わるんじゃないかという算段でいたのです。
おしゃれな車いすステッカー・マグネットの他に〝南国沖縄〟をあしらった各種商品はこちらから
お知らせ:沖縄県内では、「就労支援事業所sorato」「那覇空港バリアフリーツアーセンター」「おんな道の駅」「あやはし海の駅」で購入できます。
結果としては成功でした。
嬉しい悲鳴としては、女性側が「これってカッコいいですね~!「へぇ!こんな福祉タクシーってあるんですね」という意見があった事。
裏を返せば、車椅子ユーザーを移送するクルマにそれほどオシャレ要素やCooLさを求めてなかったのでこのようなリアクションになるのでしょう。
そんな反応を頂けて乗務員の私としましてもテンションが上がるってもんです(笑)おかげさまでエブリデイ毛母細胞が活性化しております。
毎朝、営業所・車庫で私の乗車を待ち望んでいる彼(介護タクシーめぐり車両)を見る度に湧き上がってくる私(乗務員)のワクワクは、結果として、乗客への丁寧な接客や上質な介助に繋がると思うんですね、実際、私はそうです。
電車にしても新幹線にしても、近未来系を漂わせるカッコいいデザインやその雰囲気に彩りを与えるボディカラーは無条件に乗客のテンションを上げてくれ、〝旅〟そのものに華やかさと上質さが備わりますし、また、それを操る運転士は毎日誇らしい気持ちでハンドルを握っている事でしょう。
移動にハンデを抱える方をピンポイントで輸送するタクシー(ユニバーサルタクシー含め)を開発する国産メーカーにも、乗務員と乗客がワクワクするクルマ創りに勤しんで頂きたいものです。