介護タクシー料金は運賃だけではありません。介助料金・機材使用料金が加わるからこそ、介護タクシーと呼ばれる所以なのです。
事例を交えてお伝えしましょう。
先日ご縁を頂いて新規のお客様を、病院からご自宅へお連れする運行依頼が相談員からありました。内容は診察終了後の自宅までの移動で介護タクシーを利用したいとのご依頼。
はじめてのお客様はいつも緊張するものです。
利用して良かったと気持ちよく思ってもらえるような空気づくりと運行介助を行おうと現場に向かいました。この運行内容を時系列で記してみます。
①弊社のリクライニング車いすをレンタルして帰りたい(転倒による骨折の疑いがあり、身体をあおむけに寝かせた状態で搬送してほしい)
※簡易ストレッチャーとしても活用OK。分解してコンパクトに収納も出来るカワムラ製
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②病院のリクライニング車いすから弊社のリクライニング車いすへ移乗介助を安全に行いました。
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③安全搬送でご自宅に到着しました。
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④お客様自宅・玄関前の段差、玄関内の段差を安全にm乗り越えて、自宅内に入りました。
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⑤弊社リクライニング車いすからお部屋のベッドへ移乗介助しました。
以上がお仕事の内容でした。
お客様ご自宅到着後、付き添いの旦那さんは助手席に設置してあるタクシーメーターをしっかり確認していました。
その表示料金は介助料金や機材レンタル料金を加算する前の¥2660。しかし私が請求したのは¥5660。実に¥3000円の上乗せとなりました。
お客様はえっ?と驚かれました。
その違和感をすぐに察知した私は、改めて介護タクシー料金の内訳を説明。聞くところによると自宅から病院までの往路は、別の介護タクシーを利用してこられたそうです。
おそらくですが、その介護タクシーは私よりも安い料金で請け負っていたのしょう。
その¥3000上乗せ分には
- 病院の車椅子から弊社リクライニング車いすへ、そして、リクライニング車いすから自宅内ベッドへの移乗介助
- 移送中、路面からの衝撃を和らげるクッション付きリクライニング車いすレンタル料金
- お客様自宅敷地内の傾斜の付いたスロープ/段差を安全に乗り越える労力と介助スキル
が盛り込まれていることを丁寧に説明させていただきました。
お客様の反応はああ、そういうものなのか、と納得したかのようにも見えつつ、思いがけない出費に残念そうな表情を浮かべていました。こういった瞬間のお客様の反応を見るにつけ、とてもいたたまれない気持ちになります。
しかし、経営とは持続性を持たなければならず、提供したサービス・労力に対する対価をしっかり頂かないことには成し得なくなってくるんですね。
あらためて申し上げますと、介護タクシーとは国土交通省からの管轄下にあり、れっきとしたタクシー運送業であります。人件費とガソリン代だけ頂ければいいわけではなく、経費と人件費以上の儲け(利益)をださねばならない。
介護タクシーのお客様対象が移動困難者・弱者と呼ばれる障がい者・高齢者ですから、福祉的イメージをまとった雰囲気は確かにあります。
社会福祉(social-welfare)とは、狭義には基本的人権(特に生存権)の保障の観点から生活困窮者の生活保障や心身に障害等があり支援や介助を必要とする人への援助を行う公的サービスをいう
引用元:ウィキペディア
介護は儲けよりも奉仕だという旧来から受け継がれた空気も手伝って、世間には割安で利用できるのではないか(そうあってほしい)という暗黙の認識があります。
ましてや介護タクシーという名称ですから、国民で支えあう介護保険が絡んだ利用者本人の1割適用があるんでしょ?という空気もある。事業者と見込み客ふくむお客様とのギャップを、心を込めた介助と運行でコツコツ埋めていくしかないと思っていますし、理解が深まるまで丁寧な説明も行い続けねばならないでしょう。
そして、このようなブログでの情報発信も欠かせませんね。
儲けのある料金体系だからこそそれに恥じないサービスを提供しなければと覚悟がうまれ、サービスの質が約束されるのだと17年の運行を通じて実感しています。
下記リンク先は介護業界の情報が幅広く記されていますので、こちらもぜひ参考にしてください。