※2020年リライト済み
先日、総合病院内の地域連携相談室・相談員からこのような搬送依頼がありました。
5分後に、その頼れる相談員さんから折り返しの電話がかかってきました。
といったわけで、転院搬送の予約はすんなり進みました。
相談員さんの機転(お客様目線にたった)の効いた依頼で実に¥2,000もお得に転院搬送が行われたのですが、その¥2,000安くなった根拠とはいったい何でしょうか。
また、介護タクシーを利用するご家族はどのような点に注意を払って、利用日当日までに準備を整えておけば料金をなるべく安くおさえる事が出来るのでしょうか。
これからお伝えする内容は、同業者からの不満を掻き立てる事にもつながりそうですが、視点を変えればこのような事前の段取りと配慮を行ってもらえれば、我々介護タクシー事業者にとっても効率の良い運行スケジューリングが可能になるんですよね。
お客様にとってもタクシー料金が安く済んで、事業者側にとっても20~30分の時間短縮が見込め(所要時間が読みやすくなる)て、予約の受け入れ把握が容易になり運行件数アップ=売上増 となるわけですから。
では早速まいりましょうか。
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【配慮1】利用日当日までに車いすをお部屋に準備しておく
搬送依頼があるお客様の背景には色々な状況があるものです。
- 介護施設入所者が体調を崩して救急搬送され、状態がある程度回復してきたため、救急病院からの退院を促された
- 要支援/要介護認定がおりていて介護保険レンタルの車いすがある
- 長時間(10分以上)の自立歩行に時間がかかってご本人も辛そうな高齢者
こういう方々は、自分の身体状況にフィットした車いすを既に使用中、あるいは、持っている事が多いです。Cの方とかは、タクシー移動が40分以内に済むのであれば、スタンダード車いす活用で搬送がOKだったりします。
なので、退院/転院の搬送前日か当日お迎え時間までに、車いすを病室orお部屋まで運んでおきましょう。
注意点:車いす形状と自家用車 形状とのマッチング
とはいえ、お客様所有の自家用車で車いすを運ぶといっても、
リクライニング車椅子やスタンダード車いすの形状によっては、コンパクトに折り畳めない・重量が20キロ以上ある・背もたれ長さ邪魔をして自家用車への収納が現実的に不可能なものもあります。


上記のような折り畳み不可能な車いすを病室へ運ぶ際の方法としては、車いすがそのまま入る自家用・福祉車両をお持ちの方に協力を依頼するか、ハイエース・キャラバンのような車内が広々の貨物積載性に優れた車両の所有者へ、
と打診してみるのもアリでしょう。
【配慮その2】看護師の協力を仰ぐべし
例えば病院正面玄関での待ち合わせ時間がAM10:00だとしたなら、そのお迎え時間に間に合わせるように看護師に病室ベッドから車いすへの移乗介助をお願いしておきましょう。
嫌とは言えないはずですので(笑)
看護師さんはベッドから車いす・車いすからベッドへの移乗介助は日常なので手慣れたものです。そこの労力を要する部分を看護師に対応してもらえたなら、一般の方でも車いすを押して正面出入口までの移動は簡単です。
病院内は快適なバリアフリー構造ですからね。
今回の依頼内容に限って言えば、我々介護タクシー事業者は、
・自社所有の車いすを用意して病室までお迎えに上がり
・病室ベッドから車いすへ移乗介助を行い
・介護タクシー車両周辺までの
車いす移動を行うに要する時間や労力への対価として、介助料金・機材レンタル料金をお客様から頂戴しています。
初回の見積もりから¥2,000の割安で済んだ理由は、介護タクシー事業者が本来行うべき労力の部分を、ご家族・看護師に事前に対応してもらったからこそ成立するんですね。
あらためて介護タクシー介助料金の対価をふりかえってみる
介助料金・機材レンタル料金を頂く根拠について、私なりの説明を加えるとこうなります。
室内介助 ¥1,000とは
入院/退院に関わる病院内の車いす移動・お客様手荷物運搬・ベッド⇔車いすの移乗介助 の一連の流れを代行してお客様ご本人・ご家族の移動が快適になるための対価です
リクライニング車いすレンタル ¥1,000とは
自身で寝返りをうてないなどの筋力低下により、寝姿勢でなければ移動や外出が不可能なお客様に使用する機材レンタル代。クッション付きによる快適移動を維持するためのメンテナンスコスト。より快適で安楽な快適移動を実現する次世代車いす購入に備えての積立金 を含めての対価です
介護タクシー料金の見積もりで相談員・ケアマネ・ご家族にお伝えしておきたい事
これらの室内介助や機材レンタル料金設定は、事業者の捉え方や価値観によって様々です。
リクライニング車椅子レンタルを¥2,000頂くところもあれば、室内介助料金は頂きませんよ という事業者もいます。
ストレッチャー料金¥4,000頂く事業者も散見されます。
儲けたい事業者
食べていけばそれで十分と考える事業者
安さでお客様に喜んでもらいたい事業者
など、介護タクシービジネスを捉える価値観は様々です。
そういった価値観が反映された事業者の料金設定ですから、利用者にとってわかりづらく、そのわかりづらさが介護タクシー利用のハードルを上げている事は紛れもない事実です。
その面において、大変なご苦労をおかけしますが、その見積もり確認やタクシー依頼する過程の中で事業者サービスの質が垣間見える事もたしかです。
- 見積もり料金の説明根拠は納得がいくか
- スピーディーに見積もり料金の返事をしてくれたか
- 声のトーンや発声は明瞭に聞き取れたか
- 分かりづらかったので丁寧な説明を求めたら電話対応が荒っぽくなったりしないか
良い事業者・良いサービスに出逢うためには少しばかりの手間を頂ければと、改めて申し添えておきたいです。
【それが簡単に出来ないから…】それこそが介護タクシーを利用する価値でもある
お伝えしたアドバイスは転院/退院搬送を検討している方どなたにでも当てはまるものではなく、配慮その1の「車いすを運ぶ」その行為自体にハードルが高い事が想定されます。
殆どの方は、自家用・福祉車両を所有していませんし、あのような特殊形状の重たい車いすを、自家用乗用車に詰め込むなんてこたぁ、腰痛激増しの荒行ですから。
ただ、このような予備知識を持っていれば¥2,000~¥3,000もお得に介護タクシー利用に繋げる可能性はゼロではないんですね。
ぜひ実践してみてください。