結論から申し上げれば、私自身が仕事をする上でラクになるからなんです。
- 多機能トイレ(車いすユーザー対応・オストメイト設備・ベビーチェア、ベッド設備含む)の場所はどこにある?
- 観光地入口の段差は?駐車場からの動線(路面凸凹・ぬかるみ・傾斜など)は?
- 沖縄県の北部・中部・南部 各地域でお客様をスムーズにご案内できそうな飲食店は?
- 迎え入れるスタッフの対応や接客は?
- フェリー船内のバリアフリー環境は?季節によって運行スケジュールに変動は?期間限定の運行?
お客様を観光地や飲食店にご案内するにあたって、上記の項目に沿ったチェックポイントの取材や下見を行う事で得られるドライバーの安心感がそのままお客様への良好なガイドサービスに必ず繋がります。
当たり前の事ですが、事前に自分の目で・皮膚感覚で確認できた情報や雰囲気と、ネット情報のみで得られる情報の正確性には大きな開きがありますよね。
はるばる遠路から沖縄観光に訪れるわけですから、その旅行がスムーズかつ、お客様も介助者側も付き添い家族もハッピーになれるように行うべきコトはプロとして当たり前に行っているまでです。
また、そのような視点で下見を行っていると、自分が自分の足で誰の手も借りずに歩けたり、昇れたり、走れたりする事が幸せなんだなと感じとれる瞬間があります。
現実に立ちふさがる移動の壁とは
この介護タクシーの仕事に携わなければ、そのような視点や意識で日常生活を送る事はなかったでしょう。
移動が難なく行える・行えているという幸せにも。
例えば。
大人一人分の通行幅しかない地下階段の先にある40代限定のクラブ⤴やメチャクチャオシャレでお酒もウマいと評判の飲み屋に・飲食店に何時でも行く事が出来る
フェリー船内の階段を昇って、見晴らしの良い3Fからオーシャンビューを眺め、写メを撮り、すぐさま階段を駆け下りて1Fエリア後部のプロペラから吐き出される波しぶきを見つめる事が出来る。
両脇に生い茂る亜熱帯特有の植物アダン・クサベラのスキマを通り抜け、ぬかるみの強い砂浜を走り抜け、時にビーチパラソルの下でくつろぎ、泳ごうと思えばいつでも泳ぐ事が出来る。
これらは我々健常者が外出を行う際に、強く意識せずとも難なく行えている現実であり、結果です。
誰の手を借りずとも
危険性と不安をそれほど感じず
行きたいと思った時に行動できる
これらがどれだけ幸せなことか。
例えば、
車いすユーザーや、股関節やひざ関節に痛みを日々伴っている高齢者、目の見えない視覚障がい者、音が聞こえない・聞き取りづらい聴覚障がい者達なら、その時々で誰かの助けを借りねば目的が達成されません。
ハード(設備)がきちんと整うまでに、我々健常者は障がい者にもうちょっとだけ我慢をしてくれよ、と心の中で呟いておけばいいのでしょうか。
明らかに移動に困っている人がそこに居るのに、
- 社内規定でそうなっているから
- 上司の指示を仰がないと
と、
相変わらず見てみぬふりをカマし続けるのでしょうか。
何をしていいのかわからないなら、「何をお手伝いしたらいいですか?」と問うて
歩み寄ってくればそれだけで救われることがあるのです。
意識は変えられる。行動も変えられる。
とはいえ、移動にお困りの障がい者や高齢者と日々接する体験や経験、それに関わるお仕事や当事者でなければ、結局は、私がこれまで述べてきた事もそんなに心に響かないわけです。それが現実でしょう。
空しいと言えば空しいですね。
しかし、是非、考えてほしいのは、貴方もいつ当事者になるやもしれないという置き変えの視点と意識なんですね。私のお客様は病気や突如の事故で障害を抱えた人が大半を占めます。高齢者の方でも、下半身の筋力が弱まり、杖歩行や車いす使用を余儀なくされる方も多いです。
皆さん仰います。
「こうなるはずじゃなかった」と。
それは、
健康的な食生活を送っても、体力低下を嫌うべく筋トレやスポーツを日々習慣づけていても、人間ドックをきちんと受けていても、
不条理に襲ってくるものは容赦なく襲ってきます。
貴方も今がたまたま大丈夫なだけですよ。
その当事者となった時、
貴方の周りの設備環境や
貴方に接する人々が
どのような状態にあるのか。
自分毎に置き換える人達が増えれば、この日本ももう少しマシになっているはずなのですが。